sora’s blog デジタルシニアライフ

デジタルモノ好きなシニアの日々の記録です。

新海誠監督の「天気の子」を見てきました

新海誠監督の長編アニメ第七作目に当たる「天気の子」を見てきました。

空と雲の画像
Rudy and Peter SkitteriansさんによるPixabayからの画像

筆者は、新海誠監督がほとんどひとりで作り上げた2002年公開の「ほしのこえ」から「君の名は。」まで、彼の長編作品は一通り見ましたが、男女の間を隔てる距離や時間に対してどうしようもなく無力な若者たちの切なさを描いているところに特徴があると思います。

初期の作品は結末も切なく(いわゆるバッドエンド)、見終わった後に考えさせられるものでしたが、「星を追う子ども」、「言の葉の庭」あたりから結末に希望が見えるようになり、「君の名は。」では結末にはっきりとした希望が描かれる、という風に、少し作風が変わってきました。 昔からの新海誠ファンには不評かも知れませんが、筆者は大好きです→ハッピーエンド・・・

もちろん、新海誠監督作品の背景で描かれる風景や、空と雲、そして繊細な日常空間の美しさは言うまでもありません。

「君の名は。」は社会現象にもなるような大ヒットになりましたが、実際良くできたストーリーだと感心しましたし、絵もRADWIMPSの音楽も素晴らしかった。 前作があまりにも素晴らしかっただけに、次作に注目が集まり、さぞ今回作は様々なプレッシャーがあったことでしょう。

ちなみに新海誠監督の作品はSFや超常的な非現実感をベースにしたラブストーリーが多い印象ですが、長編第三作目の「秒速5センチメートル」、長編第五作目の「言の葉の庭」と、このところ一作おきに現実的な日常を描いた作品を作っているので、筆者は第七作の今回もそれを期待したのですが、今回も伝説をベースとした超常的なお話でした。

なお、筆者は男子高校生と年上の女性との淡い恋を描いた「言の葉の庭」がお気に入りです。 梅雨時の東京が舞台で、必然的に雨のシーンが多いのですが、雨に濡れる都会や新宿御苑の描き方が素晴らしく、心にしみる作品でした。

実は今回の「天気の子」も目一杯雨のシーンが続きますが、雨というか水の描き方が、なんかパワーアップした感じで、それだけで圧倒されます。 また前作「君の名は。」に続いてRADWIPMSの音楽とのコラボが話題ですが、映像との一体化が一段と進み、絵と音だけで感動を覚えてしまいます。

お話としては、家出して東京に来た高校生「帆高(ほだか)」と、親を亡くし小学生の弟と二人暮らしをしているアルバイト女子「陽菜(ひな)」とのラブストーリー。 異常気象の続く東京をバックに、二人は晴れ女伝説に巻き込まれていくのですが、正直、ストーリーは前回の「君の名は。」ほどの完成度を感じません。 おとぎ話のようなご都合主義でストーリーが展開していくので、オイオイ、と言いたくなる場面もあるのですが、後から考えてみれば、これはおとぎ話なので当たり前なんですね。 限られた時間の中で新海誠監督が伝えたかったことの前では、そんな些細なことはどうでもいいのです。 ネタバレになるので詳しいことは書きませんが、それはクライマックスからラストに至るシーンで描かれます。

それは、社会の中で自分の大切なものを守るということはどういうことか、という覚悟。

この世界は、きみが選択した世界であり、ぼくが選択した世界でもある。 だから、ひとりで背負わなくても、大丈夫・・・

そして、どんな世界になろうとも、ひとは支え合って生きていける、という希望。 最後の方で流れるRADWIPMSの曲にもよく表現されていると思います。

ゲーム世代の若者が増え、「セカイ系」の物語がもてはやされたせいでもないでしょうが、「社会」との関係を無視したような最近の自己中な事件を見聞きするたび、筆者は未来に対して危機感を覚えていました。

今回の「天気の子」では、帆高に敢えて反社会的な行動を取らすことで「社会」との関係を浮かび上がらせ、最終的には「社会」の中で地に足を付けた生き方を目指すような希望を感じることができました。

ということで、筆者は今回の「天気の子」は、素晴らしい映像と音楽とともに、若い世代に向けたメッセージ性の強いラブストーリーとして傑出した作品だと思います。